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東広島定住サポートセンター(地域づくり推進課内)

月曜日~金曜日(12月29日~1月3日、祝日は除く)

8時30分~17時15分

”東広島LOVEな人”に聞いてみた
移住・創業インタビュー

ドッグラン&カフェ経営/泉 忠文さん

◎東広島市福富町在住 69歳 ◎居住歴:10年 ◎出身地:東広島市福富町
※2024年2月取材

憧れの田舎暮らしを故郷で
愛犬と共に始めた第二の人生

幼少期から中学生時代を福富町で過ごし、高校進学と同時に広島市へ。その後はかねてから興味のあった服飾分野を学びたいと上京。専門学校を卒業後にアパレル関係の仕事に就き、24歳で広島に帰郷した。29歳で独立して服飾メーカーを立ち上げ、以来、仕事一筋に邁進してきたが、60歳の節目で思い出の地である福富町にUターン。ドッグラン&カフェを経営しながら、移住者と地元民がつながる交流拠点を手掛けている。

福富町と広島、東京を経験

幼稚園生から中学校3年生まで、福富町にある親戚の家で暮らしていました。高校進学時に親の仕事の都合で広島へ引っ越し。3年間を過ごしたのちに服飾関係の勉強がしたいと考え、東京の専門学校に進学しました。憧れていた東京の生活でしたが、日々慌ただしく、ゴミゴミしていて暮らしにくかったです。専門学校卒業後にアパレル系の会社で働いていましたが、都会での暮らしは自分に合わないと感じ、24歳の頃に広島に戻ってきました。会社員として5年間働きましたが、独り立ちしたいという思いが強く、29歳の時に一念発起して会社を立ち上げました。とあるブランドの製品や、テーマパークで使われる衣装の、デザインから縫製までを手掛ける服飾メーカーです。それからは仕事一筋に頑張ってきましたが、40歳ぐらいから漠然と「田舎暮らしがしたい」と考えるようになりました。加計や大朝、芸北といった場所へ実際に物件を見に行くこともありました。

転機は2014年に開催されたワールドカップで、福富町の友人から「一緒に試合観戦しよう」と誘われ、その時に「福富町に空き家がある」と聞いたんです。人が住まなくなってから半年ほどしか経っていなかったその物件はまさに私の理想で、紹介してもらった2ヶ月後には移住を決め、4ヶ月後には引っ越しを完了させていました。

ドッグラン&カフェをスタート

当時、我が家では二匹のミニチュアシュナウザーを飼っており、引っ越したその日から愛犬たちが広々とした敷地を嬉しそうに走り回っていました。その姿を見て、「これはドッグランにしたらいいのでは」とひらめいたのです。土地を整備して柵を設け、小型犬から大型犬までが一度に遊べるように配慮しました。というのも、私たちが以前によそのドッグランを訪れた際、大型犬と同じ敷地内で走り回るようになっており、愛犬たちが委縮してしまったことがあるからです。柵を設ければある程度それぞれのエリアが確保できると考え、手作りで試行錯誤しました。ドッグランを経営するなら、お茶でも出したいね、食事もあったほうがいいねと話が広がり、知り合いのシェフのもとに妻が料理を学びに行きカフェもオープン。地元の米や野菜をふんだんに使ったランチ、パスタやピザなどの軽食が、今では30種類以上揃っています。店名は、このあたり一帯がかつて「陰地(おんじ)」と呼ばれていたことにちなみ、「オンジーハウス」と名付けました。

また、私がもうひとつここで力を入れたのが音楽活動でした。自身が音楽好きだったこともあり、プロのミュージシャンを招いたライブや、好きな楽器を持ち寄って過ごす演奏会を定期的に開催することにしました。これはことのほか評判が良く、特に他地域から越してきた移住者たちに「こういう場が欲しかった」と、とても喜ばれました。いつしかうちの店には色々な人が自然と集まってくるようになり、情報交換や交流の拠点を担うようになりました。

満ち足りた暮らしをいつまでも

同じ移住者である福富町の「スドウ雑貨店」のオーナーが、ここを訪れるワンちゃんたちの似顔絵を外壁に描いてくれたりなど、ますます人と人とのつながりが強くなっていきました。移住者のみならず、地元の人たちとも多彩なコミュニケーションを楽しんでいます。とある地元の中学生の女の子がウクレレに興味を持ち、その子のお父さんと私と3人でバンドを結成。お父さんはカホン(木箱型の打楽器)、私はギターを担当し、地域のお祭りで楽曲を披露したりもしました。「オンジーハウスに来れば、音楽や映画の話ができる。共通の趣味を持つ人たちと触れ合い、交流ができるのが楽しい」というような言葉をいただけるのも嬉しく、励みになっています。

私は福富町にUターンする以前、休みの日には渓流釣りやキャンプに行くのを趣味にしていました。しかし、福富町で暮らすようになり、「行きたい」という気持ちがまったく起きなくなったのです。それは日々の暮らしが当たり前のように自然と共にあるから。満天の星が出ている時は屋外のテーブルで、妻と2人で食事を楽しむこともあります。生活には何ら不自由なく、ちょっと車を走らせれば買い物にも病院にも困りません。

今後何かに挑戦したいというような大きな目標はありませんが、とにかく今の暮らしを細く長く続けたい。心身ともに満ち足りた生活が送れているのだと、しみじみと感じています。

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