地域の事業者・団体の紹介
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地域の事業者・団体の紹介
一般社団法人広島空き家流通促進ネットワーク 理事 堀江 里香さん
豊北木材工業株式会社 代表取締役社長/豊栄アップサイクルビレッジ協議会 代表 高橋 真起さん
※2025年11月取材時

高齢化が進む豊栄町。継承に困っている空き家や土地の問題を解決してきたのが、一般社団法人「広島空き家流通促進ネットワーク」だ。活動をスタートして3年ほどは実店舗を持っていなかったが、より地域に根差し、個々の問題ではなく町としての取組みに発展させようと、拠点となる実店舗「とよさかす」を2025年2月に豊栄町清武にオープン。空き家相談のみならず、移住の相談や、レトロ家具・雑貨の販売も請け負い、地域との連携を深めてきた。目に見える拠点は大きなインパクトになるという、これまでにない気付きも得られた。
そんな「とよさかす」が、2026年春に移転オープンする。「豊栄アップサイクルビレッジ」として、“家・もの・人をつなぐ場”へ。地域の一大コミュニティ拠点をめざして奮闘する、立ち上げメンバーの堀江里香さんと高橋真起さんに話を聞いた。
2020年に立ち上がった専門家集団、一般社団法人広島空き家流通促進ネットワーク。空き家や、将来的に空き家になりそうな物件の対応、空き家を活用したまちづくりのサポートを行ってきました。理事を務める堀江里香さんは、「空き家を放置すると地域の荒廃につながります。景観が悪くなるだけでなく、治安の悪化も懸念されます。例えば、気付かぬうちに犯罪者の隠れ家に使われていたり、放火されてしまったり。そうなる前にすみやかに対策できるよう、私たち広島空き家流通促進ネットワークでは、宅地建物取引士や司法書士・行政書士といったメンバーが、家や土地の相続、登記のお手伝いをします」と話します。同ネットワークは相談業務のみならず、空き家対策に関するセミナー活動、講師派遣も実施。ある時、堀江さんが講師として招かれていたセミナーへ、住宅の設計施工などを手掛ける豊北木材工業株式会社代表取締役の高橋真起さんが聴講に訪れました。
豊栄町で生まれ育った高橋さんは、空き家が増えて寂れていく地元を憂慮しており、また、自身の会社の資材置き場を有効活用できていないことを悩みに思っていたため、「何かヒントを得られれば」と参加したそうです。セミナーを聴いた高橋さんは、同ネットワークの活動内容に深く賛同。「自分も何かしたい」と、堀江さんと直接話をすることにしました。

これまで空き家対策をメインに活動してきた「広島空き家流通促進ネットワーク」は、拠点となる場所が欲しいと考え、2025年2月に豊栄町清武に実店舗をオープン。「とよさかす」と名付けたこの店舗で、空き家相談や移住相談を受けてきました。移住者と地域の橋渡し役となって、住まい探しや仕事探し、地域コミュニティとの関係構築などもサポートするのです。さらには、「家の雑貨店」として空き家整理の際に出てくるレトロな雑貨や家具を販売。雑貨屋を設けることで来店の敷居を低くして、気軽に相談に来てほしいという思いからでした。しかしながら、家具や雑貨を保管しておくには場所が手狭で、もう少し広めの店舗に移りたいという課題も。セミナーを聴いた高橋さんが、「何か一緒にやっていければ」と堀江さんに相談したのは、ちょうどそんなタイミングでした。
これまであまり活用されていなかった「豊北木材工業」の資材置き場を次の「とよさかす」の場所にしようと話がまとまり、新たに「豊栄アップサイクルビレッジ協議会」を設立。こちらの協議会を新しい「とよさかす」の窓口と位置づけることに。施設全体の名称は「豊栄アップサイクルビレッジ」と名付け、空き家や移住相談、家具・雑貨の販売、DIY工房、イベントやマルシェの開催など、より広い事業内容をカバーすることに決まりました。“家をつなぐ・ものをつなぐ・人をつなぐ”をテーマに、地域の一大コミュニティ拠点をめざしています。

豊栄アップサイクルビレッジ協議会代表に就任した高橋さんは、「「豊北木材工業」では新築ほかリフォームも行っているため、これまで廃材や不要な家具、雑貨をたくさん処分してきました。中には昔ながらの精巧な技術が見られる欄間やガラス板などもあり、もったいないなという思いがあったんです。次の人の手に渡せる場所ができ、嬉しく思っています」と笑顔を見せます。また、「寂れていく地元を目にして、“何かしたい”という思いをずっと持っていたので、堀江さんと出会って一緒に事業を立ち上げることができて本当に良かったです。オープン後の「豊栄アップサイクルビレッジ」が、空き家や移住相談の窓口、家具・雑貨販売などのほかに、地域の人が集まる場所として機能していったらいいなと思います。ゆくゆくは、一人暮らしの高齢者の寄り合いの場をつくるなど、福祉分野の課題にもアプローチしていきたいです」と話します。
高橋さんと共に施設オープンに向けて奮闘している堀江さんは、「私たちがつないでいきたいのは、土地や家だけではありません。地域そのもの、あるいはそこで育まれてきた文化や価値を丸ごと次代に継承していきたいんです。そしてこれまで、移住する人たちを幾度となくサポートしてきましたが、決め手は“人”だと実感しています。豊かな自然や便利な場所というのはほかにもたくさんあるのですが、『昔、仕事でお世話になった人が住んでいたから』『下見に来た際に案内してくれた土地の人が、すごく親切にしてくれたから』という理由で、移住地を決める人が多いように感じます。そこで暮らす人たち、その地域にしかない雰囲気や風土を、この「豊栄アップサイクルビレッジ」を通じて案内できればと考えています」と語ってくれました。
「豊栄アップサイクルビレッジ」はスタートに向け、現在改装工事の真っ最中。2026年春の開業をめざし、生まれ変わろうとしています。

とよさかす
電話:050-7103-5288
E-mail:infoakiya@akikatu.net
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